橘井鉄工所では、牛舎内の柵や扉、搾乳ロボット用のレールといった農業関連の金物について「こんなのできる?」とご相談を受けることが多くあります。
牧場ごとに異なるさまざまな事情を考慮し、農家の方が使いやすいのはもちろん、求められる強度と耐久性がありつつ、できるだけ低コストで製造できるようなご提案を心掛けています。これは先代社長時代から一貫して「お客様の身になって考える」ことを大切にしているためです。
今回は、これまで実際に製作した事例をご紹介します。
ケース1「鉱塩入れの取り付け金具」
牛が舐める鉱塩(ミネラル入りの食塩を固めたもの)を入れる容器を「コンクリートに引っかける金具を作ってほしい」と、農家さんに鉱塩を納入している製薬会社の方からの依頼です。
①手描きのラフ画
始めは手で描いたラフ画が届きました。
②ヒアリング
どのような状況とご要望なのかをヒアリングします。すると「三角柱状の鉱塩入れと金具が一体化したもの」で「牛が舐めてずれないよう、コンクリートに固定したい」ということがわかりました。
③製図
設計図面をCADで製図しました。
④製作
お客様に確認をしてOKをいただき、製作しました。
鉱塩入れと金具を溶接、金具にはコンクリートに固定するためのアンカーボルト用の穴を空けたのでしっかり留まります。オーダーメイドなのでコンクリートの厚みに完全フィット。使いやすいと好評でした。こちらは4台納品させていただきました。
ケース2「既製品を加工して低コストで製作」
牛舎内に「牛の足がはまる恐れのある穴があるのでフタをしたい」という、農機具メーカーからのご相談。
①ヒアリング&検討会
穴のサイズや牛舎内の状況をお聞きしながら、手描きでラフ画を起こします。
次に社内で検討会を開きました。長方形の穴であること、牛舎内の掃除で水を流すことなどを考え、単なる鉄板ではなく、グレーチング(金属でできた格子状のフタ)が良いのではという結論に。
②ご提案
グレーチングを一から作ると費用がかかります。そこで既製品のグレーチングを加工して希望サイズにすることで、コストを抑える方法をご提案。
③製図
設計図面をCADで製図しました。
③製作
お客様に確認をしてOKをいただき、製作しました。
縦横のほか、高さも溝にしっかり合うよう加工しています。もちろん上に牛が乗っても大丈夫な強度になっています。
1点のみのイレギュラー製作ということもあり「どこに頼めば良いか分からず困っていました。助かりました」と感謝されました。
ケース3「アブレストストール」
酪農家さんのパーラー(搾乳施設)新設時に、現地で設置する場合もあります。
特に「アブレストストール」と呼ばれる搾乳用の柵は、亜鉛メッキ製で高い溶接技術が求められるため、メーカーさんから指名されて赴くことが多いです。
①打ち合わせ&採寸
アブレストストールを設置するため工事の最初に現地で打ち合わせと採寸をします。
②製作&完成
完成です。
アブレストストールは、難しい亜鉛メッキ溶接に加え、細かい部品や可動部が多いため、総合的な技術力が求められます。美しさと牛の安全を確保する丁寧な仕上がりで、農家さんにもご満足いただけました。
このほか、さまざまな受注生産品を作ってきました。
どんなご相談にも応えられるよう、アイデアを形にする技術で最善を尽くし、先代から作り上げて来た信頼とノウハウを、これからも引き継いでいきたいと思っています。ご依頼、お待ちしております。
また創造性が高く、ものづくりの醍醐味や楽しさを感じられる仕事です。ものづくりに興味のある方からのご応募、お待ちしております。
【求人情報】https://kitui.co.jp/career/
※受注生産については通常業務との兼ね合いになりますので、納期など調整いただく場合があります。ご了承ください。